ジルスチュアートで思い出したら、本気の恋だと思う

自然災害とネット通販で買ったものは忘れた頃にやってくるとはよく言ったもので、恐らく親の顔より見たお馴染みの白い箱が身に覚えのないタイミングで自宅に届き怪訝に思いながらも開封すると十中八九ちょっと前に注文していた新写真だったりする。たまに注文の仕方が下手すぎて三日連続で届いたりする。しかし、胸キュン提供動画もまたそれらと同じように忘れた頃にやって来るのだった。

【胸キュン注意】香りからインスピレーション!ポエムを書け

 

まず、危うくリンクを踏んでしまい辿り着いたもののこのブログなに?と思っている方、かつ暇で気絶しそうな方は下記の記事を読んでみて欲しい。本当に読む価値はありません。

厳密に言えばこれ以前の直近の胸キュン提供動画は

【恋を呼ぶハーブ】恋の媚薬ヴァーベナで彼女をデートに誘う‼︎

なのだが、こちらは"気になる相手をデートに誘うメールを作成する"という企画であくまで文面上の胸キュンだったので、例えしめちゃんが毎日ブログ更新の実績と恋人にしたいランキング前回3位の実力をいかんなく発揮した爆モテ文字打ちを披露しても必要以上に心を掻き乱されることもなく楽しく視聴することが出来た。一方でやはり架空のシチュエーションを本人が再現する形式の胸キュンはかなり心の準備を要することになる。前回のブログでも述べたのだが、私はジャニオタなのに胸キュンの類全般が大の苦手でよくあるお題に合わせて胸キュンセリフを言う、みたいなのも本当に無理だし多分自担がキスブサに出たら死ぬ。尚、以降本ブログに登場する"無理"はSnow Manの「君の彼氏になりたい」サビの「むりむりむり、やっぱむり」のそれとほぼ同義と捉えていただいて差し支えない。ちなみに例のジバンシイの提供動画は心の準備を要しすぎて現在公開から約1年と5ヶ月ほど経過したが、全編視聴できたのはただの一度きりだった。現在も心の準備中である。

提供動画が胸キュンであり、さらに再現形式のものであると速やかに察した私は意外にも冷静で、ジバンシイの時と同じように安易に再生したりなどはしなかった。いくら過去に数々の相手と対峙してきたとは言え、胸キュン動画において過信や油断は禁物なのだ。同じ写真は何度買っても、同じ轍は三度も踏んだりはしない。まず一度目は大まかな状況を把握することに努めることとした。オープニングで今回の提供動画はジルスチュアートさんの3種類の香水からイメージを膨らませオリジナルのポエムを作り即興で表現するものだと説明がある。

f:id:kc1995:20211214221043j:image

ポ、ポエム?風変わりな要素ではあるが、中断するほどのことではなさそうなので再生を継続してみる。しめちゃんのターンになり、妄想の着想を得るために香水を嗅ぎ(皆にヘラヘラするなとヤジ飛ばされていてかわいい)本人が決定したテーマが

f:id:kc1995:20211214221254j:image

「仕事終わりの家で」

無理である。危険だ。こんなもんは見なくても分かる。仕事終わりの…家で…だと?普段はスーパーアイドルであるしめちゃんが、あくまで26歳の男性であるという事実をこれでもかと言わんばかりに突き付けられる年相応の、極めてリアリティの高いテーマのチョイス。その非現実的なルックスでいまいちピンとは来ないが、年齢的には働き盛りの若手会社員にも相当するのである。ちなみに実は…アタシの彼氏はアイドルで…2人が付き合ってるのは絶対に秘密☆☆☆みたいな妄想とは個人的に相容れないので、職業の設定はこちらでアイドル以外を想定させていただく。一般企業の会社員、あるいはおしゃれなカフェの店員、もしくは表参道とかの美容師なのかもしれない。すぐに私立ジバンシイ高校を中退した私が丸腰で挑むにはあまりにも高すぎる目標なのだと悟った。ドラゴン桜でも序盤で視聴者に見放される展開になってしまう。試合開始のゴングが鳴る前に潔く一旦リングから退場することにした。


しかしこれは敗北ではない、まだ試合は始まっていないのだ。全ては確実に勝利(佐藤)を手中に収めるための布石。この段階でもまだ私は冷静だった。シチュエーション自体はかなり厳しいものだったがそもそもポエムとか言ってるし、もしかしたら胸キュン一辺倒というよりちょっと笑えるラブコメ的なやつかもしれない。とりあえず本編を再生してみよう。行ける!行けるよー!頑張れ!1年生、もっと声出してー!

※以下、ネタバレを含みます。未視聴の方はぜひ上記のリンクよりご覧になってから読んでください!

 

f:id:kc1995:20211214221813j:image

しめちゃん「ただいま〜」←かわいい

かわいすぎる。こんな623%かわいいで出来たかわいすぎる生命体が外出しウイルスにまみれた外気に触れていると思うととても正気ではいられず心配性なあたしは電車に乗るのを嫌がる、堂本aikoになってしまいそうだったが、これくらいならまだ胸キュン的には大丈夫だ。問題ないので引き続き再生する。

f:id:kc1995:20211214221958j:image

無理かもしれない。

帰宅して早々何よりも先に恋人(毒々しい色合いのクマさん)に抱きつくしめちゃんを見て、手を洗いなさい!!!!!!!!!!と絶叫してしまい、一時再生を中断。これはかなり無理なやつかもしれない。先刻までは正直自分の体質上この動画を完走することは難しいかもしれないという諦めと、それ以上にしめちゃんがどんな胸キュンを披露しているのか見てみたいという純粋な好奇心がせめぎ合っていた。しかしこんな画を見てしまった今、諦めゲージが優勢となってきた。しかもなんか前回のジバンシイと違いかわいい成分も大幅に含まれているような気がする。一瞬しか見ていないけれどさながら"仕事から帰ってきたワンコ系年下彼氏が年上彼女に甘えるシチュエーション"であるかのように思う。一瞬しか見てないんですけど。


肝心のポエムに辿り着く前に敗北の色が濃厚となってきたが、まだ試合時間は残されている。私は力無く立ち尽くしながらも、将来的にしめちゃんに恋愛ドラマのお仕事が来た際には一体どうなってしまうんだろう、などと考えていた。あんな少女マンガ生まれ恋愛ドラマ育ちみたいな甘い顔立ちなのだから、胸キュンシーンが数々散りばめられたドラマには明日から出演したとしてもなんら違和感は無い。そんな未来が来た時、私は同じように視聴に挑戦することさえもせずただHDに溜まっていく録画やTLの実況ツイートを眺めるだけのオタクになってもいいのか?その時に備えて今から胸キュン動画で少しでも慣らしておくべきなのではないか。無理だとしても挑戦すること自体を放棄してしまっては、まだ見ぬあらゆるラブシーンにTLの皆と一緒に泣きながら甲子園球場の砂をかき集めることすらかなわないのだ。震える手を再び握りしめようとした時、どこからか声が聞こえた。


「忘れたの?俺のこと」

私「その声は……炒飯?!」

炒飯「久しぶりだね…」

そうだ。忘れていた。私は炒飯即添い寝動画を既に視聴済みの、強心臓の持ち主なのだった。炒飯はそれ以上何も言わず、ただ優しく、どこか力強く私に向かって微笑んだ。ありがとう炒飯。炒飯はいつだって背中を押してくれる。分かったよ。もう少しだけ頑張ってみる。

 

f:id:kc1995:20211214223044j:image

しめちゃん「あ〜〜 今日もお仕事頑張ったよ?」


無理って。それはさすがに。セリフのかわいらしさとお顔に似合わずやや掠れた低い声が鼓膜にダイレクトアタックし、あっけなく四散した。そもそも敵うはずがなかったのだ、特級相手に片腕で。また胸キュンの負債が増えた。

 

思えば私にとってしめちゃんはいちごのショートケーキで、ピンクのパフェで、パステルカラーの綿あめで、羽の生えた天使で、かわいらしくて煌めくものの象徴だった。そしてそんなしめちゃんをかわいいかわいいと褒めそやす私はいつだってしめちゃんの前ではおじさんだった。これはなんかおじさん構文とかではなく、以前某女性アイドルが言っていた、アイドルの前では女性も男性も関係なく皆平等におじさんなのだと。言うまでもなくかっこよくてセクシーな龍也さんももちろん大好きで、かわいいしめちゃんもかっこいい龍也さんも楽しめるのがアイドル七五三掛龍也さんを好きでいる醍醐味の一つではあると理解してはいるが、胸キュンを真正面から享受することによって自分の中でしめちゃんを異性として見ていることを認めることになる気がして、それが何だか気恥ずかしくてべ、別にそんなんじゃないし……!!!というスタンスで早2年くらい経つ。しめちゃんだってアイドルである以前に26歳男性だし、仕事から帰ってきて疲れているところに家に毒々しい色合いのクマさんがいたら抱き着いて甘えたくなるような世界線もあるのかもしれない、しめちゃんはいちごのショートケーキでもあるが、洗練された味わいだがどこか粗雑な骨付き肉でもあるという事実から目を背け、争い続けていたのだ。ふと思う。もしかしたら、あのキラキラした店内に一歩足を踏み入れれば私ももう少しだけ素直な気持ちになれるかもしれない。おじさんのアイドルオタクから、女の子のジャニオタになれるのかもしれない。好きな人のことを、ジルスチュアートで思い出すのだから。